クマグスの森 / Kumagusu Exhibition

南方熊楠は博物学者であり民俗学者であり植物学者であり哲学者でありしかしそのいずれもでもなかった。ほとんど全裸で生活していたという異様な身体性とキャラメルボックスの蒐集箱を天皇に献上にしてしまうような日常的なチャーミングな感性と3500枚ものキノコのスケッチを描いた粘着質な集中力と粘菌のようなミクロな観察から南方曼陀羅のような宇宙観まで膨らます思想的巨大さの同居は、人間の可能性の極限の一つと言える。 立方多面体にカットされた大小合わせて約1000個の発泡スチロールで空間を作る。発泡スチロールは虫眼鏡で観察してみるとほぼ立方多面体をしている。だから理論的には立方多面体の発泡スチロールの立体組積構造体はフラクタルであり、その空間に身体を包み込むことで熊楠的過剰さに溢れた空間をつくることができるのではないかと考えた。

Date:2007
Site:ワタリウム美術館
共同設計:藤原徹平+平辻里佳+川口圭介、江尻建築構造設計事務所(構造)
施工:KUMAGUSU WORKSHOP