水と彫刻の丘リノベーションプロポーザル
リノベーションとは、建物にまつわる時間の問題に取り組む作業である。今回、新規部分は、既存部分とは15年のタイムラグを持って誕生することになり、必然的に建物の寿命にも差をもたらす。先行している既存建物に依存する計画では、建物の寿命が既存部分に拘束され、タイムラグを強引にキャンセルしてしまう。新規部分が持ち得たはずの寿命を生かしきれない計画は、一時的な延命措置にこそなれ、根本的な解決といえない。タイムラグを上手く利用することが重要である。そこで既存建物を、構造的に縁の切れた架構で覆う。「構造的」には絶縁されている両者が、「空間的」には補完し合う。既存建物が寿命を迎えても、構造的に切り離されているため新規部分は残り続け、この残った架構を手掛かりにまた次のリノベーションが始まる。このように既存建物に依存するのではなく共存することで、主/客が反転しながらも「場」自体は生き存えるサイクルを生み出す。
Date:2010
Site:千葉県市原市
共同設計:NEWEST、オーノジャパン(構造)